(社)日本奇術協会主催定例公演 「Magic of MAGIC」第22回公演レポート
日時2007年9月3日「月」
場所  目白  シアター風姿花伝 チケット
前売り 2700円  当日 3000円
開場 18:30  終演 20:50

出演(敬称略)
シルキー渚。石黒サンペイ。沙神姫梆。サンキュー手塚。山田秀樹。小俣道代。

第22回はシルキー渚さんのプロデュースによるところのマジックショーマジックが始まる前にドルフィンの加藤さんから風姿花伝での人材育成事業が順調に成果が上がって多くのファンが増えたこと、それに伴いもう少しキャパの多い「150席前後」労音大久保会館に10月から会場変更の知らせがあった。
新会場はJR新大久保駅から近くなりそうであるがマジックで致命的な「火」が全然使えないとか、「うーーーん」マジックの醍醐味が薄れなければ良いが、ちょっと懸念される。
折角リピターが多くなったのに、新会場は不安もあるな。

1部 何時ものナナオさんがお休みなので、MCはリリアンさん。

最初に登場したのは、石黒サンペイさん
ちょっと小太りで目がくりくりしていて、言葉使いは丁寧だが、がんがん強引に自分のペースに観客を引き込んでゆくがちっとも嫌味がなくテンポが鮮やかで面白い。
何回か見ているが、同じところで何時も笑わされる、マジックショーでは底抜けに笑わせる芸人さんが居るとオープニングが明るく、見ていても気持ちが高揚してくる。
口の中に物を入れるマジックが多かったがラストの切り絵や最初の投げ上げるループの色変わりはお客さんを巻き込んで、大笑いであった。

小俣 道代さん
アマチュアマジシャンで、なぜか色々なところで、出演していて、話題に なっている。
メリケンハットというマジックがあるが、バネ花と、グラスだけで手順が作られていて、従来のネタ取りでないところと、花の数が途方もなく多いのが特徴である。
まだまだ、ネタ取りが荒いが慣れることなく、自分の良いところを延ばす方向を積極的に考えた方がよさそうだ、同じミスの場所が有ると練習でカバーしがちだが(勿論それも大事だが…)動きに無理が無いか、セットが良好か、原因を突き詰めて改善する必要があると思った。
今回は普段に無く動きが硬かったのは、矢張り、観客が間近であったこともあるだろうが、プロの方との競演がプレシャーの原因かも知れない。


サンキュー手塚さん
この芸人さん、なんてたって面白いコメディーパントマイムパフォーマンスと言うのであろうか、シルキー渚さん、ご推薦で風姿花伝に初登場である。
静岡の大道芸大会でも優勝した経験の持ち主との話。
舞台上手からロボットのパホーマンスで客席を驚かした後は、演技の転換がスピーディーで、圧巻なのは梅干を食べて(パワーが出る想定)の表情の凄さ、面白さ、見ている我々もついつい一緒に、すっぱくなってしまいそうな錯覚を覚えた。
見応えがあります。
ラストは観客を恋人に見立て、ハードル「僅か20センチ位の高さ」の障害物を乗り越えて行くストリーで有ったが演技時間の関係か、繰り返しが多く、ちょっと残念だったが。
一見の価値は充分あります。
是非また拝見したいパフォーマンスでした。

第2部 山田 秀樹さん
今回2回目の風姿花伝の出演のこと「前回は、FISM大会があり拝見出来なかった」実は私は二ヶ月前に三鷹の舞台を拝見しまして、仲間と開催しているCROSSROADの出演をお願いした人でした。
現在、古典和妻(伝統を基本にしてそのよさを残しつつ現代にマッチさせていると思っています。)
古典に無い洋風ものを取りいれた新しい和風マジックと申しましょうかそんな二種類の舞台があると勝手に思っています。
「間違っていたらごめんなさい」ですが、山田さんの舞台もまさに現代和風マジックそのものです。
随所にアイディアを盛り込み、笑あり、アイディアに溢れ選曲も勝れています。
和傘、羽子板、くす玉、ピラミッドすら和風に変えた演技。
特に私は、あるプロがなさっている、桜の花型のピンクと白を3枚ずつ交互にロープに飾りロープを持ち替えることなく、一瞬に一枚置きに色が変わるのが本当に気に入りました。
これからが楽しみな演技者です。

沙神妃梆さん
「さがみひな」と読みます。
なんとも難しい芸名で、ちょっと心配です。
昨年10月に風姿花伝に出演した時は、三賀美の芸名でした。
今年の一月から改名したとのこと。
今回も花を中心にした、歯切れの良いテンポの演技は見ていてとても心地よい。
充分に手馴れた営業作品の演技。
パンに飛び込むシルクなどトークも上手で、酔客に充分対応できる(今回の客がマニアの悪いところで目立ちたがりやであった。)
間が素晴らしい。
中々若い女性マジシャンでは出来ない話芸です。
細かく計算された演技内容と軽快な音楽がマッチしていて、女性マジシャンですと何だか真似をしたくなる魅力を持ってます。

シルキー渚さん
今回も楽屋入りは午後1時。
よれよれの7分ズボンに帽子の後ろから髷が出ている、どうみても、唯のオッサン「失礼」の姿で現れたから先に楽屋に入っていた皆が驚いた。
楽屋でも、軽口を叩きながら、時間を潰していたが、リハになるとオープニング曲から選曲されていて、秒数まですっかり頭に入っている、音響さんや照明さん、勿論、舞監との打ち合わせも、プロもアマも大筋の注文をだして、後は舞監に任せて 「はい、そうしてください。」
となるのだが、シルキーさんなかなか、そうは行かない、結構時間が掛かる。
だが、後輩の意見も本当に良く聞いていて、良いと思えば直ぐに取り入れる柔軟な姿勢が素晴らしい。
ごつい顔(失礼)にしては、そのやり取りが面白い、打ち上げでも師匠の渚晴彦師と話している言葉は丁寧でお酒も飲まない。
舞台スタイルと同じ真面目な職人と言う感じの数少ないマジシャンですね。
今回、特に気に入った演技は「リング」だった。
いまは亡き高木重朗先生が、リングは全部客に渡して調べて貰うか、金属であることをしっかり理解してもらうことが大事と注意されたことがある。
今は、ジャグリングのように扱う演技も喜ばれるが、私は演技の途中でリングが硬い物と強調する場面を入れている職人芸のシルキーさんのリングが 好きだ。

浅井。