(社)日本奇術協会主催定例公演 「Magic of MAGIC」
第25回公演レポート松旭斎すみえ一門会
日時  2007年12月4日「火」
場所  労音大久保会館 R’sArt Court
チケット 前売り 2700円  当日 3000円
開場 18:30  終演 20:50
出演(敬称略)
松旭斎すみえ / 松旭斎ちどり / 花島皆子 / 花島世津子 / 花島久美 / 花島けいこ / カズカタヤマ / MAYAKO

1部  花島けいこさん
すみえ一門最後のお弟子さんとの話。
以前高座で一緒になったと、玉すだれの師匠が非常に褒めていたので、早くライブを見たかったが、中々チャンスが無く、今回初めて観賞させて頂いた。
水色の帽子に、同色のブラウス、襟を立て、白のスラックスがとても爽やか。
シャンソンの曲にのせて、花の取り出しやカードなどの演技が、大きく見える。
実は彼女演劇劇団に所属していた頃、すみえ師と巡りあいマジックに転向現在に至っているとの事だから感情表現が豊かなのかも。帽子を深く被って、シャッツの襟もたてているのでお顔が見えにくくなるのが よっと勿体無いなー。

花島皆子さん
すみえ師の最初の内弟子と聞いている。
黒や濃い紫のロングドレスが本当に良く似合う姉御と言う感じ、多分江戸っ子でしょう。
随分と昔、横浜でFISMが開かれたとき、美人揃いのすみえ師のお弟子さんは、みんな外国のマジシャンに相当引っ張りだこだと聞いています「笑い」その親玉と言うことでしょう、お話も爽やかだし、話の進め方が、とてもスマートである。
これは関西人では無い芸風ですね。
今回も、テレビショッピング風に、笑いを振りまいたリングを演じていた。
きっと、皆子さんは時代に敏感な人なのかも知れない。

第2部ではお得意の、作文マジックでその軽妙なタッチに惑わされ 実際したマジックは多分数種類なのに、沢山笑わせてもらって 何だか一杯幸せになった気分です。

松旭斎ちどりさん
皆子さんが、姉御ならば ちどりさんは大姉御の風格。
さて、どちらが先にすみえ師のお弟子さんになったか、まーマジシャンなんでから謎が多い方がミステリヤスかも知れないし、私の単なる知識不足かも 知れない、唯、すみえ師匠のお弟子さんは皆、花島を名乗っているのにちどりさんは、松旭斎の芸名である?かな。
考えるに、松旭斎 を名乗る師匠に弟子入りして。
すみえ師に移籍したのかも知れない。
想像だけで書いて、ちどりさんに叱られるかも知れないが「ちどりさんは多分私のことを知らないので、安心だ」トップにお名前を列記する順番に色々迷ったから、こだわった訳でこれは単なる私的な興味です。
カルチャーの指導も行なっているそうで、その指導の仕方が優しくて観客を喜ばせるコツ等も話に出るらしい。
一回受講してみたいものだ。
中華セイロを見せて頂いたが、非常に優しい雰囲気が出ていてゆったりとした、中国の大河のようだった。

花島世津子さん
もしかしたら、お弟子さんの中で一番、すみえ師に芸風が似ている かもしれない。
以前、ビーポイントで会員が舞台をご一緒させていただいたことがあった。
舞台裏が非常に狭く、会員の道具が大きかったのでご迷惑かけたのに、嫌なそぶりを一つせず却って、ご自分から場所を作ってくれて恐縮したことがある。
御会いする前は、何だか近寄りたい人に感じていただけに、凄く嬉しかったのをいまだに覚えております。
緊張の中での親切は有り難かった。
当夜は、男性の観客と、椅子に腰掛けたアシスタントを太いロープで縛り、カーテンで遮ると結ばれているのに、笛や太鼓を叩いたり 最後には、隣に腰掛けた観客の上着までも着てしまう演技であった。
しかし、賑やかな人ですよ。

2部 花島久美さん
いやいや、すみえ師のお弟子さんは賑やかな人ばかりです。
華やかな真っ赤な着物でバラの花柄のカードでお洒落な木の葉カードを演じていました。
末っ子のお茶目な感じがするし、派手な演技が多いですしね。
女性にしては、大胆と言うか破天荒な演技が目に付きますが (見てのお楽しみにしましょう)度胸のいる演技ですよ。

カズカタヤマ&MAYAKOさん
MAYAKOさんのアコーデオンの伴奏でカズさんの紙を主題にした演技。
新聞の復活。
テュシュで紙玉を作り、シンプルに変化→シンプルの色変わり→元のテュシュ戻り→テュシュの箱の浮揚と面白い構成でした。
何時拝見しても鮮やかですね。
テュシュ箱のゾンビも無理に浮かせるのでもなく、それでいて穏やかにふわーと浮く感じがなんとも云えませんです。
後でMAYAKOさんがピンでバルーン演技でした。
風船が入ったバックが鍵盤模様で何とも素敵です。
プロとはいえ、女性であの風船を一気に何本も何本も膨らましながら、客席を縦横に動き回るのですから、本人は大変な重労働でしょうけれど見ているほうは夢が膨らむ感じです。

松旭斎すみえ師
すみえ師については、いままでにも何回も書きましたし、多くのフアンが演技を見ておられるので、いまさら書く事が無いのですが、当夜の演技で、シルクを切断して紙吹雪になる所が鮮やかで、気に入りました。
(これはすみえし師が素材は違いますがビデオでも出されています)
それを拝見したときに、師匠は「ひらめき整理達人」だと思いました。
私なども、マジシャンの演技を拝見して、 「これは使える」と「ひらめく」ことは度々有りますが、それは飽くまでも人まね、物真似で、ひらめいたものを其の儘まねが出来ればまだ良い方で数日も経てばそれも忘れてしまいます。
師匠は「ひらめき」或るいわ「ひらめいた」ものを幾つにも別けて 引き出しの小箱に仕舞っているのでしょう。
数多い引き出しの中から時に触れ、ひもとき分解し組み合わせ、つなぎ合わせて、一つの手順に作り上げる達人なのかも知れない。
だから、何時見ても 目新しいマジックに見え、何十年の現役で活躍されているのに常に新鮮に見えるマジシャンなのだと、一人合点して帰って参りました。
いいよなー。
そんな才能が欲しいなー。

浅井精治